10.The Star Festival

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同時刻、桜峰魔術師学園 第4会議室─── 日も暮れ、暗くなってきた室内。 その暗闇の中を、"何か"が動いている。いや、"誰か"と言った方が正しい。 「……」 その人物は、黙って辺りを見回しながら、部屋の中を歩いている。 「……?」 部屋の真ん中辺りに立った謎の人物は、窓に飾られた竹に気づいた。 そっと近づき、外からのわずかな光を頼りに、短冊に書かれている文字を読み取ろうと試みる。 「……」 人物の目が、ある一つの短冊に留まった。 下手な毛筆で、こう書かれている。 『みんなに誇れる起爆剤になる 神崎鋼介』 「……フッ」 この人物は男らしい。楽しそうに苦笑し、心中で語りかける。 (……あなたらしい目標ですね、神崎さん) 遠い目をする男の髪は、闇夜でも輝くような、綺麗な銀色だった。 (早く強くなってくださいね) どこから出したのか、黒い帽子を頭にかぶる。 (あなたは……我々の"救世主"となるやもしれない、大切な方なのですから) 男は消えた。 後に残ったのは、笑みだけ。
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