10.The Star Festival

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このままだと口げんかに発展しそうだった故、空を見上げた。 暗い空の大部分を、灰色っぽい雲が覆っている。その隙間から、わずかに白い点が覗いていた。 「……鋼介」 不意に呼ばれた。下の名前で。 「何だ?」 「……」 「……名前で呼んじまって照れてる?」 「バッ……違うわよ!」 うわ~、分かりやすい。 真っ赤になったユーリは、すぐにわざとらしい咳払いをして、 「……もうすぐで期末試験だけど、あんたは大丈夫なの?」 何じゃそりぁ~~~!(松田優作さんの口調で) 「き、期末試験!?」 「聞いてなかったっての?」 「いや……何ソレ?」 「期末試験は期末試験よ。それ以上でもそれ以下でもないわ」 「それは分かる! オレが聞いてんのは、いつそんな話がされたか、ってことだ!」 「右京先生が言ってたの、聞いてなかったんでしょ」 「……」 「ザマ無いわね」 軽くあしらわれた。ちょっと目頭が熱い……。 そうこうしてる内に、寮に着いた。 「じゃ、せいぜい頑張ることね!」 本当に軽く言って、ユーリは建物に入っていった。 「……」 赤点のリーダー……。 起爆剤なんて代物には、なれそうもない。
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