入学

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「なによ、その不満そうな不細工面は。文句でもあるの?」 いつも思うが、こいつは当たり前の事をわざわざ聞きやがる。家柄を馬鹿にされて、不満が無い訳ないだろう。それに俺は不細工じゃない。主観的にだが。それを言い返せないのが辛い所ではある。 辛辣を通り越えた言葉の暴力を振るってまで俺を止めた彼女、ルナサ・バーミリオン。憎たらしい長い金髪を垂らしてまで窓際から体を乗り出した彼女は、更なる暴力を繰り出す。 「あんたってば、平民みたいな服しか持って無いのね。いっそのこと、そのまま平民にでもなれば?」 流石に言い過ぎだろ。これでも、ヴァンガード家は歴史の長い貴族だ。大して金は無くても、誇りはある。言い返したい。言い返したいけど、ルナサの父親は俺の親父が勤める役所のトップであり、王国12賢者の一人でもある。余りある権力と地位と金を持ってる。 下手に言い返そうものなら、親父の首が刎ねられ兼ねん。バーミリオン家の敵に回ったとしたら、世界が敵に回るだろう。 くそったれ。
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