入学

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「で、貧乏貴族は何を買ったのかしら」 何か魔法を使ったのだろう。ルナサの持ち上げた指先に淡い小さな光が一瞬燈った。俺と奴の距離はそれほど無いが、夕日の灯だ。恐らくは視覚に干渉する魔法なんだろう。それにしても、このローブがどれだけ凄いのか分からない。高価過ぎるのは分かるけど、正確な値段知らないし。よし、よく見えるように包装のロゴを向けてやる。 上級貴族のルナサならば、これがどれほどの物か知っているだろう。案の定知っていたようで、毒舌が火を噴く前に「んなあっ!?」と素頓狂な悲鳴を上げて窓から庭へ落ちた。ざまぁみろ。 「あんた……家宅でも質に入れたの……? サマイト通りの、ファイレクシアのローブ店の代物じゃない。そんなの、私ですら1着しか持って無いのに」 んしょ、と窓へと戻っていくルナサ。湯浴み上りなのだろう。ネグリジェから兎さんパンツが見えたが、複雑な心境だ。普段は大人ぶってるくせに、下着が子供過ぎる。 目のやり場も無いから手元のローブに目を移す。そうか、これは家1件もの値段がするのか。 ……とんでもない物を貰ってしまった……。
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