初めての担当

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初めての担当

色々な思いを抱えながら私は家を出た。お姉ちゃんも私をみんなに紹介し、自分も仕事の為一緒に出た。私は一人じゃなくて本当に心強いと改めて思った。 病院に着くまでは二人とも黙っていた。むしろワイワイ話をするような雰囲気ではなかったし、私にはありがたく思えた。 病院に着き、エレベーターで7Fに向かおうとした時お姉ちゃんが口を開いた。 「千尋。あなたは優しすぎるから受け持ち患者さんに入れ込みすぎちゃ駄目よ!!」と言われた。確かに私は困っている人を見るとほっておけないどころか、自分のことよりも他人のことばかり考えてしまう性格で・・・。お姉ちゃんにはお見通しみたいであった。でも私は今回は違った。7Fという特殊な病棟で、患者さんの身の回りの世話をするだけで良いと言われた仕事。私に一体何が出来るのか不安だったから・・・。不安そうな顔をしていたのだろう。お姉ちゃんは優しく微笑み、 「あなたならきっと良いヘルパーになれるわ。」優しくそう言ってくれた。 チンッ! 7Fまでのエレベーターはとてつもなく長く感じた。エレベーターの中ではお姉ちゃんが「あの先生はこうで、あの看護師さんはああで・・・。」と色々話をしてくれていたが、着いた途端に表情が変わった。そこにはいつものお姉ちゃんの顔ではなく、ヘルパーとしての顔があった。 初めての7F。背の高い天井、ピカピカの床、真っ白な空間。そして、話には聞いてはいたが、本当に15㎝しか開かない窓。他の病棟とは比べ物にならないくらい・・・というよりまるで別世界の空間がそこには広がっていた。  「7F・・・。天国に一番近い場所かもしれない。」 ふと私はそう思った。
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