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ただでさえ重々しい空気の漂う場所なのに、気まずい沈黙が続く。
「……人間? 」
沈黙を破ったのは、茶髪の僕よりも幼いであろう少女だった。
少女は、肩につくかつかないかぐらいのサラサラの髪の毛を風に靡かせ、大きな瞳でこちらを見据えていた。
彼女は、鼻も高く端正な顔立ちをしている。
「……」
それにしても人間って……僕が、化け物にでも見えるのだろうか?
「まだ、生きてる人がいるなんて」
少し落ち付きを取り戻した女の子が近づいて来て、仰向けに寝ている僕をじろじろと見る。
そんなに見られると恥ずかい。
「あなたは、どちら側? 」
どういう意味だかさっぱり分からないので、首を傾けた。
「"神の子"か"人間"かって聞いてんだよ」
やっと口を開いた金髪の僕と同じぐらいの年頃の少年が、荒い口調で僕を上から見下す。
「アデル、そんな言い方しなくても……」
少女が少年を宥めようとしているが、彼はそっぽを向いてしまった。
「"神の子"? 」
……ん?
――ズキンッ
初めて聞いた言葉のはずなのに、それを聞いた瞬間から急に頭が痛み出した。
……それから、僕はまた意識を手放した。
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