プロローグ 神世界

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 俺はペンを動かそうとしていた手を止め、インクで汚した紙をぼんやりと眺めた。架空の世界に生きる少年達の物語を。――紙の上という閉ざされた世界で足掻く少年達を。 『――この世界は、作りものなんだよ……』  少年は天を仰ぎ、無情な創造神を憎んだ。俺を、憎んだ。そうあって然るべきなのだ。神を識る者は神を憎む。遥か遠い神を。 『どうして僕を――私を産んだんです?』  その言葉は空に虚しく消えていった。
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