光秀

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足利義秋の寄寓を一見厚遇しているかに見える義景であるが、一向に上洛の兵を起こさなかった。 自国の領土保全を第一に考える朝倉義景にとっては、義秋上洛の手伝いなど余計な負担に外ならないのである。 その義景の様子に落胆した足利義秋は、他に有力な大名は居ないものかと物色した。 早くから、織田信長の異才に注目していた光秀は、足利義秋に、信長と組むように進めたのである。 義秋もこの提案に関心を示したため、光秀は織田信長の元へ交渉に行くことなり、そのための旅の途中なのだ。 「御辺はどう見る?」 と光秀が鹿介に尋ねた。 鹿介も光秀の判断は正しいと考えている。 鹿介は、畿内から美濃にかけての情勢を具(つぶさ)に観察してきた。 そして、自ら学んだところと常に照らし合わせて考えている。 光秀の話から察すると朝倉義景は、纏まった兵力を擁しながらも守成(しゅぜい)に甘んじているらしい。
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