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俺は当選結果が載った黒河社の雑誌を持って、良乃の家に向かった。
驚かせたかったんだ。
良乃は、俺の夢を一番理解してくれてる。
…俺の書く世界は、どうやら変わってるらしくて、他の友達には「あり得ない、ひどい」と言われ続けた。
…まぁ、俺の話は基本的にハッピーエンドじゃないから。
でもその方がリアルな感じがしたから。
だからずっとバッドエンドを書き続けた。
…幼なじみの良乃は、誰よりもそれを理解してくれた。
「世の中、ハッピーエンドじゃないと嫌なんだよ、もしくは綺麗な話じゃないと見向きもしない。…そうやって現実逃避したいんだよ。…慧の書く話はたしかにちょっとひどいけど…リアルだから理解しやすいよ」
わかってくれたことが、嬉しかった。
本当に嬉しかった。
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