一面、見渡す限り、砂。

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 一体何だって俺はこんな所に居るんだ?  少年はあまりの暑さに滝のような汗をかきながら辺りを見渡す。  ……見覚えが無い。 「まじかよ……」  何故こんな状況になっているのか思い出そうと、頭を捻る。  ――が。 「……あ? ちょ……え? ……」  暑さでとはまた違った意味で滲んだ汗は背中をつう、と流れていった。  少年は一人虚しく呟く。 「俺は……誰、だよ…………」  マジでか。マジかこの状況は。  何も分からない。  此処がどこか分からない。  ……自分が何者なのかも分からない。 「……勘弁してくれ……」  唯一の救いは此処は砂漠は砂漠でも、砂漠の中にあるオアシスだったこと。  水は、ある。  食べ物は……  あった。  オアシスの木に果物が成っているのを見つけ、取り合えず暫くは生き長らえる事がわかり安堵する。  酷く喉が渇いていたのと、軽く熱中症にでもかかったのか頭痛を感じていた少年は、湖に向かった。
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