2927人が本棚に入れています
本棚に追加
/261ページ
一体何だって俺はこんな所に居るんだ?
少年はあまりの暑さに滝のような汗をかきながら辺りを見渡す。
……見覚えが無い。
「まじかよ……」
何故こんな状況になっているのか思い出そうと、頭を捻る。
――が。
「……あ? ちょ……え? ……」
暑さでとはまた違った意味で滲んだ汗は背中をつう、と流れていった。
少年は一人虚しく呟く。
「俺は……誰、だよ…………」
マジでか。マジかこの状況は。
何も分からない。
此処がどこか分からない。
……自分が何者なのかも分からない。
「……勘弁してくれ……」
唯一の救いは此処は砂漠は砂漠でも、砂漠の中にあるオアシスだったこと。
水は、ある。
食べ物は……
あった。
オアシスの木に果物が成っているのを見つけ、取り合えず暫くは生き長らえる事がわかり安堵する。
酷く喉が渇いていたのと、軽く熱中症にでもかかったのか頭痛を感じていた少年は、湖に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!