始まりの音

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始まりの音

    …向こう側の歩道を  親子連れが歩いて行く…     仲良く… 楽しそうに手を繋いで歩く姿を見て…         愛法は負けじと…   隣のおじいちゃんの手を… ぎゅっと握った。         「…何でボクには、お父さんもお母さんも居ないの?」       呟くように発せられた言葉に…   柔らかく微笑んで…     おじいちゃんの大きな手は… 愛法の頭を撫でた。       「…愛法? …諦める事はない。   お前にだって… 家族をつくる事が出来るんじゃよ。」       「…え…?」   「お前がお嫁に行く時…。 …嫁入り先のお家の人が お前の家族になる。   …その時は この年寄りにも… 愛法の花嫁姿を見せておくれ?」           「うん。取って置きの花嫁姿を 見せてあげるねっ!!!!」       元気いっぱい頷いて、愛法は駆け出す。     「おじいちゃんっ!!早くっ!!」       …研究所から家への帰り道。       愛法が振り返ると… 地面がぐらりと揺れた。    
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