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「…く、おきて…はく、起きて伯」
「な、に…」
誰かが俺の事を起こす。
なんの用?俺を起こして。
「やっと起きた」
俺を起こしてそんな呑気な事を言うのは、隣に住む同い年の啓吾(ケイゴ)だった。
「……な、に…」
俺が眉を寄せて、いかにも嫌がった顔をしても啓吾は話を続けた。
「今日は伯の三者面談だろ?
どうせ放課後、学校に来るなら、朝から一緒に登校しようぜっ」
「……い、やッ」
「なんでだよっ」
「ねむい」
「即答…」
俺はあんまり喋らないけど、こんな風に会話が出来るのは、啓吾だからだろう。
俺は、妃伯(ヒハク)中学三年生。
「ほら!そんな事言ってないで風呂に入って着替えるんだよっ」
「…ヤ」
「いいから、ほらほら!」
「めん、どー…」
そう言いながらも、のろりとベッドから降りて風呂場に向かう俺。
啓吾に甘い気がする。
―パタン
「嫌だとか言いながら、結局は言う事聞くんだよな」
妃伯のいなくなった部屋で、緩んだ顔をしながら啓吾は呟いた。
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