34柱の一匹と、贈る者

11/22
5733人が本棚に入れています
本棚に追加
/249ページ
食事を終えるまでレイアさんもビス君も、何も喋らなかった。 けれど、漂う空気は柔らかく、私は何ヶ月かぶりに穏やかに美味しい食事をする事が出来た。 食事を終えたタイミングで、レイアさんが紅茶を出してくれる。 「さて・・・ 一息ついた所で、お前の今後を決めねばな。」 その言葉にピクッと身体が震えた。 そうだった。 私は、助けられはしたけど奴隷・・・ レイアさん達と一緒に過ごせる訳なんかない。 「勘違いはするなよ?」 「えっ!?」 少し陰った私に気付いたレイアさんが、苦笑する。 「主はお前の面倒を見ると言っている。 私も反対ではない。」 居ても良い? 「お前の事情を私達は知らん。 ここで面倒を見るのは構わんが、家や家族がいるなら、という意味で、だ。」 「・・・聞いて下さい。」 私は奴隷としてロッグス家に使われるようになるまでの『事情』を話した。
/249ページ

最初のコメントを投稿しよう!