第四章 目醒め

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第四章 目醒め

シガ北部、百里ヶ岳 満月の夜、フクイとの県境の山中、這いつくばるようにして崖の上に6つの人影が息を潜めていた 皆同じ、真っ赤なローブを羽織っている ???(居たぞ…やはりクロノスの兵士だったか) 隊長らしき男が、土を崩さないよう慎重に崖下を覗き込む 崖下は木がなく開けた、かなり広い土地になっていた 満月の夜だ、火を焚いているのもあり辺りはかなり明るい 鎧を着た、複数のクロノスの兵士がキャンプをしている ???「カズ、狙えるか?」隣にいる若い男に聞く カズ「見張りが2、3人、キャンプしているのも含めて15人ですね、まず見張りからやります」 カズが能力を発動させた 右目にレンズを当てたような防具に姿が変わる、両手には弩が握られていた 隊長が頷くと、他の4人に下がるよう合図した カズは弩を担ぎ、狙いを定めた ここからクロノスの兵士がいる崖下まで、約15m クロノスの兵士は人の形をしているが、皆、皮膚が真っ黒で、顔は醜く恐ろしい形相をしていた 見張りが斧を片手に辺りをしきりに見回している カズ(まずは1人…) スコープを覗き、狙いを定める そして、引き金を引いた 矢はバシュッ、と音を立て見張りの頭に命中した、すぐさま次の敵を狙い構え直す 撃たれた兵士の鋭い悲鳴を聞いた仲間達が騒ぎ始める 2人目を射たところで見張りの1人がこちらを指差し叫んだ ???「行くぞ!!」 仲間に合図をし、能力を発動させる 男の手に握られているのは長さ2mはゆうにある大鎌だ、崖から飛び降りる 後ろの4名が続いた 兵士が矢を放ってきたが大した数では無い、鎌を振るい全て弾いた 着地と同時に1人の頭を跳ねる、視界の隅にこちらを向いて矢をつがえた敵を確認した 敵が矢をこちらに放つ、首の無い兵士を右手で掴み、死体を盾にした そのまま弓を担いだ兵士に死体ごと体当たりをする、慌てた相手は弓を前に押しだす、が、その程度では盾の役目は果たせない 死体を投げ捨て、バランスを崩し倒れた兵士の心臓に大鎌の柄を突き刺す 返り血と黒いローブを纏い鎌を振るう男は、まさに死神だった
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