序章

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いくつの時が流れたろうか。 人にもかつて、その星がどんな世界だったのか覚えている者はいない。 そこにあった全ては砂に埋もれ、荒れ果てた景色が広がる。 それはこの星のほとんどの生命が失われている事を静かに語っていた。 焼け付くような日差しは砂漠を焦がし、代わって大地が月の下になれば、凍り付くような風が吹く。 命の脈動はどこからも聞こえない。それは死んだ世界と言っていい。 だが、そんな大地の上に灯りは静かに灯っていた。 その小さくも弱々しい光は、人の光である。
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