決裂と出会い

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今日も何の収穫も無く、ガックリと肩を落としてザザは帰路についていた。 しかし村に近づくにつれ漂ってきた焦げくさい臭い、そして夕方にも関わらずやけに明るい前方に、思わず足を速めた。 息を切らし、ようやく辿り着いたザザの紅い目に映る――赤。 「嘘……でしょ……?」 狩猟用の槍を取り落とし、一瞬にして青ざめ口はポカンと開くザザ。 夕闇が迫る中、彼の村は松明のように火柱を立てていた。 呆然と立ち尽くす彼はふと、我にかえる。 今あの村にいるのは―― 「母さん! クク!」 そう一言叫ぶと、足の病で歩くことができない母と幼い妹の下へと走った。
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