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結裂 日向は中学生だ。
長い黒髪は昔から切らずに頑張って伸ばした。
お母さんが自慢げに誰かにそう言っていたけど、鬱陶しい。
だから全てまとめてポニーテールにしている。
中学校はとくにこれと言った特徴の無い公立校。
ちょっと古くて、先輩達が校門でたむろしていて、やたら元気な体育教師がいて朝練をしている体育会系の生徒の声が響く、ごく普通の中学校。
上ぐつに履き変え、教室を目指す。
タンタンタン……と軽快に階段を駆け上がり、ガラガラとドアを開ける。
「……ぉ………」
おはよう、と言いたかったのに喉がカラカラになって心臓がドクドクとして出てきたのは結局掠れた音だった。
日向は、人と話すことができない。
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