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───―……。
誰かに名前を呼ばれたような気がした。
少女は足を止め、ゆっくり後ろを振り返る。
「……」
誰もいない。
小首を傾げながら、前方に向き直った。
(気のせいかな)
正直、少女はそれどころではなかった。
西の空で、燃えるように赤く染まった太陽を睨みつけながら、少女は再び足を進める。
今日は、小学校の帰りに、初めてできた友達の家にお呼ばれして、遅くなってしまっていた。
(急がなきゃ! 日が沈んじゃう!)
自然と早足になる。
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