第21夜

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「そうだな……そうするよ」 僕はあっさり頷いた。 絵理にそう言われると、素直にそうしないといけないような気がしてきた。 明日ちゃんと謝って、もう一度藤井さんと話し合ってみよっか。 それにしても、久保圭吾……。 もう二回目の直木賞候補になるとは、悔しいけど驚かされた。 これで一回目はまぐれだったわけではないと証明されたわけだ。 運が良ければ、次で直木賞を取るかもしれない。 そうなっても僕は何も言えない。 作品さえ作ってない奴に何も言う権利などない。 僕が今あいつに対抗できることは、あいつが書いた作品以上の作品を作り上げて、次の直木賞に備える。 ただそれだけしか残されていなかった。
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