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「リリリリシュカ様!? おおお離れください!!」
それは悲痛な叫びにも聞こえた。
ジュダからしたら叫びには違いないのだろうが、リシュカはそれを面白がるかのようにきつく抱き付く。
「もう少し堪能させて」
からかうような弾んだ声に、ジュダは大げさにいうと絶望に襲われる。
こんな状態が長く続いたら心臓が持たない。
「リリリリシュカ様!!」
泣きそうに見えるのは気のせいか。
恐らく気のせいなんかでなくて、ジュダは必死の思いでリシュカを引き剥がす。
引き剥がされたリシュカは不満そうに、しかし楽しむようにジュダを見れば、ジュダの顔は真っ赤で、息は乱れていた。
「ジュダは相変わらずだね」
「か……からかわないでください」
ジュダの様子をくすくすと笑い、リシュカは楽しそうにジュダから離れた。
その様子を黙っていたナーヅァにとっては面白くない光景で、鼻から熱い息を吐く。
男がリシュカに危害を加える者でないと分かったが、二人は親しい関係のようで、それが面白くない。
ナーヅァの心に生まれたのは何か……。
心に影を落とした感情は何か……。
それは嫉妬と独占欲。
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