9943人が本棚に入れています
本棚に追加
/716ページ
二人の王子は生まれた時から、赤子の時からオッドアイを受け継いでいた。
オッドアイを受け継いでいない姫。
それでも我が子には代わりはなくて、王と妃は溢れんばかりの愛情を注ぐ。
二人の王子も妹を可愛がった。
姫はたくさんの愛情を注がれながら、優しく、明るく、賢く、そして美しく成長していく。
姫は幸せだった。
たくさんの幸せに囲まれて、たくさん幸せを貰い、毎日が幸せだった。
でも幸せな時間はやがて止まり、音をたてて、目の前で崩れ去っていく。
民の立場になって法を敷き、民の生活が良くなるよう改革を進め、民から信頼を得、民に好かれた王が
妃や王子、そして姫からも厚い信頼と愛情を得ていた王が
死んだ。
青の瞳から真っ赤な血を流し、痛みから顔を歪め、苦しみから血を吐き、恐怖から紫の瞳に涙を溜め、うめき声が絶えることなく。
王族のかかりつけの医者は、見たことのない症状、苦しみようにどう対処していいのか分からず、それでも様々な薬を飲ませ、様々な処置をしたが、王を苦しみから救うことはできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!