《山小屋》

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「大丈夫よ、お兄ちゃん。これぐらい……」  妹は小柄な身体を軋ませ、咳き込んだ。  咳自体はそれほど激しいものではなかったが、咳はなかなか収まらない。  僕は妹の背中を軽く、トントン、と叩きながら言った。 「こういう時のおまえの『大丈夫』ほど、あてにならないものはないんだよ」  妹、フィリムは13歳。  エメラルドグリーンの美しい髪が肩の下まで伸びている。  病弱なだけあって身体は細く、肌は少し白い。  しかしそれでも、日の光りが当たると髪と肌の美しさが際立って、まるで妖精のように見える。 それから少しして咳は収まり、妹は顔を気に入らなさそうに、小さく顔をしかめて言った。 「私が信用できない?」
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