54人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
追跡者に見つからないように、身を屈めて瓦礫の影を移動する龍治。
中山達はトミーの背後に回り、銃撃を続けるトミーの援護を始めた。
興奮気味の中山は勿論だが、涙目になりながら迂回も銃を構えている。
2人の姿を見て、トミーは一瞬小さな笑みを浮かべた。
「龍治は?」
「あの人なら、もう1人の子の方に向かいましたよ!!」
中山の話を聞いて、トミーは追跡者に鋭い視線を向ける。
気掛かりであった博之の事は龍治に任せ、やるべき事は目の前の敵を討つ事。
その瞳は力強い輝きを放ち、そう物語っていた。
3人の銃撃により、追跡者は距離を詰めることが出来ず、その銃弾を受けないようにするのが精一杯となる。
距離は保ったまま、銃撃戦は持久戦へと変わっていた。
その頃、銃声を背に龍治はビルに侵入していた。
埃臭い臭いが漂う中、小さな瓦礫や壁の破片などが散乱する地面を見る。
僅かに確認できる足跡が1つ。
「上、か?」
足跡を辿り、龍治は階段の前で呟いた。
すると、銃撃戦の最中である筈のトミー達の方から爆発音が轟く。
「チィッ!! 急がねえと!!」
嫌な予感が頭を過り、龍治は慌てて階段を駆け上がっていく。
最初のコメントを投稿しよう!