対立のユダ

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 追跡者に見つからないように、身を屈めて瓦礫の影を移動する龍治。  中山達はトミーの背後に回り、銃撃を続けるトミーの援護を始めた。  興奮気味の中山は勿論だが、涙目になりながら迂回も銃を構えている。  2人の姿を見て、トミーは一瞬小さな笑みを浮かべた。 「龍治は?」 「あの人なら、もう1人の子の方に向かいましたよ!!」  中山の話を聞いて、トミーは追跡者に鋭い視線を向ける。  気掛かりであった博之の事は龍治に任せ、やるべき事は目の前の敵を討つ事。  その瞳は力強い輝きを放ち、そう物語っていた。  3人の銃撃により、追跡者は距離を詰めることが出来ず、その銃弾を受けないようにするのが精一杯となる。  距離は保ったまま、銃撃戦は持久戦へと変わっていた。  その頃、銃声を背に龍治はビルに侵入していた。  埃臭い臭いが漂う中、小さな瓦礫や壁の破片などが散乱する地面を見る。  僅かに確認できる足跡が1つ。 「上、か?」  足跡を辿り、龍治は階段の前で呟いた。  すると、銃撃戦の最中である筈のトミー達の方から爆発音が轟く。 「チィッ!! 急がねえと!!」  嫌な予感が頭を過り、龍治は慌てて階段を駆け上がっていく。
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