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―序章―
歓楽街での逮捕
愛知県近郊都市、中部地区最大の街である名古屋市迄は、一般道と高速道路を合わせて約2時間…。M県M市愛宕町―。M市最大の賑わいをみせる街だ。且つ、最も古い歓楽街だ。
M市の私鉄駅前には市のシンボルである大きな黄金色の鈴がある。
愛宕町交差点からその鈴を背にして反対方向に行くと、愛宕神社という小さな祠がある。祠をそのまま進めば辺り一帯はネオンの街だ。雑居ビルが建ち並び、大勢の酒酔人や女人達がそれぞれの時間と金を費やす。
ある日、深夜2時頃だったか、その街はいつもの様にネオンが輝き夜の女人達が男共を誘っていた。
小料理屋、スナック、風俗店、パブ、等々…
その歓楽街の狭い道に一台の車がゆっくりと進んでいた。すぐ後ろにも仲間の車が続いていた。2台の車がゆっくりと進んでいた。
車内には数人の男達が乗っていた。ネオン街の道路幅は極めて狭く、酒酔人や歩行者達は飲食店の看板に身を寄せたり、と。その看板でさえ邪魔な置物の一つなのだが。
慎重にゆっくりと2台の車は進んでいた。しばらくすると左手にタバコ屋がある。タバコの自販機が数台並んでいる。 歓楽街らしく外国タバコの種類も半端ではない。。自販機は4~5台並んでいる。車はその自販機の角を右折した。一方通行だ。右折したすぐに軽トラックのラーメン屋台も道を狭くしているのだが誰も文句は言わない。その横には盛り場の定法通りに辻占いがいる。ホントに占い師なのか、は別にしてイイ女だ。
2台の車は狭い道に無理矢理といってもよいくらいに目一杯に右側に停車した。周囲を気にしたり、無視したり
車が止まったすぐ向側には飲食雑居ビルがある。このビルが目的だったのだ。
エンジンを掛けたまま中から数人の男達が出てきた。後ろの車からも数人の男が降りてくる。 そして数人の男達が携帯を確認して目当てのビル内に散らばって行った。
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