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しかしまぁ――良かったんだろう。だからこそ俺が、少しばかり皮肉を込めてこんなことを言ったりするのも、喧嘩に似た何かが終わったからなんだろうな。
「ったく……これだからお嬢様は」
「何か言った?」
「待て、なんでメラメラした炎を出してんだ。魔法は禁止のハズだ。先生に言うぞ」
「あら、私達随分と皆から離れてるみたい……監督不行届ね」
「おかしい。それは正しい人の言葉であって悪魔が言い訳に使える言葉じゃアツイッ! ちょっ、魔力強化もしてないんだぞ!?」
「うるっさい! 誰がお嬢様よ、鳥肌ものだわ!」
「てめっ俺がまだ魔法苦手なの知ってて――うおぁ!?」
炎に追われる俺が雷で逃げる。けれど雷で移動できるのもたった数秒。しかしその数秒でカイルを捕まえて盾にし、しかしその盾ごと燃やそうとしてくるお嬢様。
そんなアイツと不思議な約束をした今日という日は不本意ながらに、俺にとっても印象深い一日となったのだった。
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