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続けざまに視線を左右に移動させる。
木造の床の上は壁、天井、全て赤茶色のレンガで敷き詰められている。
この空間の真ん中には胸の下辺りまである木製の机が置かれていて、2つずつ向かい合うように椅子が4つ並んでいた。
酷く汚れた部屋だ。
右側には仕切りが崩れた棚があって、左側には泥とほこりに覆われたガラス張りの窓がある。
直立したままその窓に視線を向けるも、泥がこびり付いていて外の様子を伺い知る事は出来なかった。
「人が住んでいる気配はありませんね」
確かめるような口調で彼女に伝える。
瑠衣さんは僕の背後に視線を向けながら「そうみたいだね」と口にした。
そして、そのまま僕に向かって指を差し、
「レオくん、後ろ……」
神妙な面持ちでそう言った。
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