1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
とろりと溶けたチョコレートの様にリリの髪の毛は、ルーンの指から滴り落ちた。
この感触を味わう度にルーンはいつも愛おしく思う。
しかしそれと同時に、その感触と同じ様にリリが自分の腕の中からいとも簡単にすり抜けてしまうのではないかという不安も彼の中に生まれる。
その不安を掻き消すかの様に、ルーンは細いリリの身体に腕を絡ませて眠る。
その腕は彼が眠りから覚めるまで解かれる事はない。
目覚めた時、リリがそこに存在している事を確認出来て初めて彼の腕は新しい動きを初める。
その間中リリはじっと彼の腕に包まれたままで居る。
リリは知っている。
彼が自分に対してどんな感情を持っているかを。
だからリリは彼の腕の中にぴたりと埋め込まれたままで居る。
それがリリのルーンに対する答えだった。
最初のコメントを投稿しよう!