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「そうだね……僕は嫌われ者みたいだからね」
苦笑いを浮かべながら対戦相手の男に笑いかけると、急に冷たい睨みつける様な表情になって周りにも聞こえる大きな声で言った。
「そんな嫌われ者のお前が、相応しくない物を1つ持ってるのが俺は気に入らない!
だからお前に決闘を挑ませてもらう!」
手に持っていた剣の先を僕に向けて言う対戦相手。
これには先生達や生徒達も皆驚いて、少しガヤガヤとした雰囲気になる。
「え?僕に相応しくない物?」
僕は決闘を挑まれた事に驚きながらも、一体何だろうと考える。
「まだ分からないのか?
お前の横にずっと居る女の事だよ。
あんな美人が何でお前の横に居るのかが分からない。
しかも聞くところによると、婚約者だと?
気に入らない、本当にこれだけは気に入らない。
だから、お前から奪わせて貰う!
決闘で俺が求める物は、お前の婚約者だ!」
そう言った表情が冷たい笑みに変わり僕の事を見る。
「じゃあ、決闘で渡す物を変えさせてもらうよ。
僕は僕の命を賭けるよ。
確か決闘は、自分の命を賭ければ相手が何を求めても打ち消せるはずだよね?」
僕は対戦相手を少し睨みつけながら即答する。
僕の返事に周りの皆と対戦相手の人も驚いたのか、突然周りの音がなくなった様に静かになり、対戦相手は目を見開き驚いた表情をしている。
「け、ケイト!自分の言ってる事が分かってるのか!?」
突然シャルガがそんな事を言いながら人垣を掻き分けてコートに入ってきた。
僕はシャルガに真剣な顔をして答える。
「分かってるよ」
「自分の命だぞ!?
負けたら殺されても文句言えないんだぞ!?」
シャルガは僕の答えに間髪入れずに、少し怒った様に怒鳴る。
「それも分かってるよ」
そう言いながら、僕は心の中で思う。
僕にとってアリス以上に大切な物なんてないもんね。
「ふははは!結構驚いたがまさか命を賭けてくれるとは好都合だ!
お前を殺して、お前の婚約者を手に入れる。
落ちこぼれのお前は元々貴族の恥だからな!
殺しても問題ないだろ?」
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