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大声で誰かが叫んでいる。・・・女が倒れてる・・・?
そのとき、俺の頭の中では彼女しか浮かばなかった。すぐに俺はその人ごみの中に入り込んで先頭にたどり着く。
・・・そこには女の人が倒れていた。どこからか血を流している。一台の車が店に突っ込んでそのときに女の人も引かれてしまったのだろう。
「・・・杏?」
女の人の顔には見覚えがあった。・・・・・・・そう、さっきまで笑いあっていた・・・あの人・・・・・彼女が・・・・俺の前で血を流して倒れていた。
「・・・な、何やってんだよ杏。冗談・・・だろ・・・?」
話しかけても応答しない。
「なぁ・・・杏・・・」
何度話しかけても彼女からの返事は返ってこなかった。
「嘘・・・だろ・・・?」
頭の中では彼女のことでいっぱいだった。何で・・・さっきまで俺のそばにいた彼女が・・・血を流して・・・倒れてる・・・?
「おぃ・・・杏・・・?」
たった数分の出来事だった。
「杏・・・・・」
たった数分の時間で、彼女が俺の目の前で倒れている。
「・・・・・・」
・・・息はもう、なかった。
「杏!!!!!!!!!」
その後、救急車で運ばれたがすでに杏はもう助かるすべはなかった。もう二度と、俺の顔を見ることも・・・なかった。
あれからもう二年経つんだな。
もし、彼女が生きてたら一緒に高校に登校したり教室でしゃべりあったりしてるはずだったんだ。あの時間、俺は悔やんでも悔やみきれなかった。
「・・・惨劇だ」
ただ、その一言だけが言える。
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