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「私が不良の一人から腕を掴まれた時、いきなり現れたのが陽斗さんでした。何も言わず不良に絡まれていた私を救ってくれました。まさに私の王子様の様でしたね」
全てを語り終えた委員長さんは、『エコ』と大きく書かれた水筒を出して、くぴっと一口飲んで俺と向き合った。
「……ごめん、全く覚えてない…」
そう、俺はたった今委員長さんが聞かせてくれた話を全く覚えていなかった。
あの時って、女の子と話したことがほぼ無かったんだよなぁ。だからそんなことがもし起こっていたならば、絶対に覚えているはずなんだけれど。
何だか申し訳ないな。
俺の発言を聞いた委員長さんは表情を変えずに、
「まぁ、そうですよね。今の全部嘘ですし」
ふんわり、そんなことを言った。
「俺の罪悪感を返せよ!!つーかよくもまぁ、そんな長々と嘘の話が出来るな」
「褒めても何も出ませんよ。もちろん母乳も」
「最低の発言だ!!つーか俺そういうフェチじゃあねえぇぇ!!!ってか、あれ?じゃあ何で委員長さんは俺のストーカーになったの?「
「それは入学式の時に一目惚れしてしまったからですよ」
あ、ストーカーは否定しないんだ。
「ってか、え。マジで!?うわっ…、なんかすっげぇ嬉しい…。ちなみにさ、いや本当は別にどこに惚れたとかそんなことは気になってもないんだけどね?まあ…その…一応聞いとく感じなんだけど、どの辺に一目惚れしたの!!?」
今思うと俺の発言はがっつき過ぎだったし、本音が隠しきれていない。超恥ずかしい。ウキウキし過ぎてしまった感が丸出しだった。
だって女の子にそんなこと言われたの初めてだもん。
しょうがないよね。
「幸薄そうで、それでいてMっぽい所ですね」
「俺は一度もその二つを誇ったことはないし、自覚もないよ!!」
え?俺ってそんな風に見えんの?
あ、ちなみに前も言ったけど俺はノーマルです。
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