一章『プロローグ』

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全校生徒が体育館へ集まる。 やはり、夏休み前日だ。 気持ちが高ぶってるのは俺だけじゃない。 クラスのみならず体育館全体が、蝉の鳴く声をかき消すほどざわついていた。 「えー、静かに」 ハウリング混じりの教頭の声が響く。 しかし、この気持ちの高ぶりは、そんなものでは押さえられる訳もなく、終業式はこの喧騒の中で行われることとなった。 潮騒にも似た声たちは次第に勢いを失い、ナントカ式特有の堅苦しい雰囲気に呑まれていった。
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