普通

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どこにでもある会話 高校生男子の 普通の会話 あの子が可愛い あの子は胸がでかい あの子は足が細い 外見が良ければ きっと彼らはいいのだろう 俺はヤレれば 女なんて誰でもいい 一人に愛を捧げる? バカいっちゃいけねぇよ そんな面倒臭い真似 するやつがバカを 見るだけなんだ この世の中は。 愛を捧げてもいつか 別れが来るだろう 先が見えてるはずなのに 人は恋して別れに涙する 滑稽だ 始めから知っていたことだろう? なら俺は体だけでいい、性欲を満たせれば充分だ。 秋月紗介 ――――17歳、夏。 余りにも冷たくて 人を愛する喜び 人を愛する悲しみ 人を愛する勇気 人を愛する覚悟 何も知らなかった ただ一度だけの失恋 初恋が甘酸っぱい思い出になるのはきっと その悲しみを乗り越えた人のにが 味わえる幸せででも切ない味なのだろう だが彼は違った 紗介は恋から逃げた ただ一度だけの失恋で あまりにも臆病 あまりにも滑稽 『恋をすれば必ず 別れが訪れる だから俺は恋をしない。』 全てを分かり切ったような 冷めた考え 17歳が抱く想いにしては 大人びていた 他人はそう思い彼に諭すだろう。 だが違う。 彼は大人びてなんかない 周りの誰よりもガキだ。
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