甘鄲の夢

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利と公園にいると陽が歩いて来た 「早いね…」 「つってもまだ集合まで5分あるけどな。」 「お~い!利、礼、陽~!!」 話していると向こうから郁が走ってくる 「遅いぞ。」 と、利が言った 「悪ぃ悪ぃ寝坊しちまった~」 反省ナシの郁 郁は女だが俺たちの言葉づかいで自分だけ仲間外れみたいで嫌とか言って男のように喋る 中学3年生になり受験勉強に皆追われていた なので今日は四人で図書館に行こうと約束していた 「ねぇ、利。どこ受ける?」 と言うが話しかけていたのは礼だった 「俺は礼だ。」 「ややこしい!」 間違えるのも無理はない 何故なら利と礼は双子で鏡の様に全く同じなのだ 髪型も好みも全て一緒なので持ち物も服も知らずと似たようなモノになった だから親でさえなかなか区別はつかない そんな双子の唯一の違う点は兄の利は何でも難なくこなすことだった 勉強では常にトップ10だし運動では何の大会に出しても好成績を出した そして親が利ばかり意識するようになり、それが原因で礼のコンプレックスなのだが 図書館に着き早速教科書を広げる 各々が 「これどうやって解くの?」 「成る程~」 「シャー芯くれ。」 「消しゴムくれ。」 「ZZZ…」 「腹減った~飯~」 最後の2つは郁 やがて外も暗くなり帰宅する 自転車をこぎながらもうすぐそこまで迫る受験の終ってからを話していた 「終ったら皆で何かしようぜ!」 と、郁が言う 「何かって何だよ?」 「皆で泊まりするとか遊園地行くとか!」 「悪くないな。」 「とりあえず遊園地行きたい!」 その利と郁のやりとりを見て礼は思った 『多分…郁は利の事が好きなんだろうな』 「わかったわかった遊園地な。」 「礼、陽もだよ!」 「わかってるよ。」 「…わかった。」 そして別れ道で別れる 「じゃあな!」 「…また明日。」 「おう。」 陽・郁と別れてから礼は利に話しかけた 「本当にA高でいいのか?利ならもっと上の高校目指せるだろ?」 「いいんだよ。礼や陽や郁がいればそれでOKだ。」 「…そっか。ありがとう。」 礼は嬉しくてつい笑っていた それを見た利も笑っていた そして悲劇は訪れる…
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