出会う

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彼との出会いは10ヶ月前。 通勤電車の中で、私が一目惚れをした。 いつも細身な体をオシャレなスーツにつつみ、 ドアのすぐ横に立ち、細い指でポールに触れ窓の外を細い目で眺める。 彼の姿はいつしか憂鬱な私の通勤の原動力となった。 普段、人に話しかけることすら人見知りな私は出来もしないので、 早起きをして彼と同じ電車に乗る事だけが精一杯だったけど、 それでも十分幸せだった。 いつか、 たまたま隣に彼が立ち。 それだけでも、もう顔が上げれない程に息がとまりそうだった。 彼の革靴。 彼のスーツ。 どれもとてもキレイに整えられた 彼の足。 私の手には汗。 身体全体が心臓になったみたいに足の先までドキドキしていた。 突然 ふいの激しい電車の揺れに‥ 彼の細い指がポールをつかみそこね、 私の方へ大きく揺らめいた。 触れた柔らかい体。 息がとまった‥。 心臓の音が身体中をさらに大きく駆け巡り、 噴き出すかと思うほどに、身体中の血が騒ぎ立てた。 「あ、すいません。」 という、ただの一言のとろけそうな彼の声。 私はただただ涙がでそうになって、 真っ赤な耳を髪で隠すこともできないまま、ただ硬直しながら頷いた。 この時、私の鼓動の激しさに、この一目惚れが恋愛に発展する事を確信した。 このドキドキは本物だ。 私はきっとこの人と付き合う。
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