屋上のベンチ

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「俺、小さい頃ひよのことイジメてた…。覚えているだろ?俺の名前。」 あぁ、そうか。 レンジ先輩の名前に聞き覚えがあると思ったら、 小さい頃私をイジメてた近所の男の子の一人と同じ名前だったからなんだ…。 だけど、名字は武田じゃなかった。確か、西松だった気がする。 西松 来夢。 「名字が…」 「そ。違う。親が離婚して、母親に引き取られたと同時に引っ越した。それから、暫く経って再婚して名字が変わった。」 「そうだったんですか…」 あの時、レンジ先輩はリーダー(ガキ大将?)的存在で何人もの男の子達を従えてたっけ。砂場游びの道具とか、咲ちゃんと遊ぶ為に持ってきた人形とかよくとられて手下の男の子達にラグビーみたいにパス回ししてなかなか返してくれなかったな。 泣いたら泣いたで、『お前、泣くと余計にブサイク過ぎて面白い』とか言って余計にイジメられた。 結局、お兄ちゃんが男の子達をボコボコにして漸くとられたものが返ってくる…この繰り返しだった。 お兄ちゃんに毎日のようにボコられても私をイジメることをやめなかった男の子達も凄いけど、咲ちゃんを守る為とはいえ毎日イジメられに公園に行ってた私もどうかと思う。 少し考えれば、遊ぶ場所なんて他にもたくさん(家とか河川敷とか)あるのに、わざわざイジメっ子がいる公園で遊ぶとか…。私って、イタイお子様だったのか。 思わず、遠い目になって考えてしまった。 .
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