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「どうして一人で旅をしていたの? はっきり言うとさ、アンタ……一人じゃ何もできないと思うのよね」
「ん……それは否定しない」
カナタは頷いた。
「僕……自信があるから。一人で何もできないのを」
「そこ、自慢すること?」
ため息をしてから笑みを浮かべる。
そして――
「思ったより元気になってよかった。あ、そうだ。カナタ君。珍しいお客さんが来ていたわよ」
「……客?」
「うん。白いフクロウ。喋るフクロウなんてはじめて見たから驚いた。
カナタ君の知り合い?」
「ふむ。彼女は僕の……仕事仲間」
「は?」
疑問の視線を投げてくるルカを放置して、布団から抜け出してカナタはふらつきながらテントの外へ。
テントから出たカナタの雰囲気はからりとかわり、まったく堂々としたもので、珍客――白いフクロウを出迎えた。
そして――
「久しぶりです、下等生物」
カナタを見ての開口一番、それが白いフクロウの言葉だった――
この再会がカナタを新たな物語へと誘うことになる。
~end~
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