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世界は自分にとって優しくない。
すべて敵――というわけではないが、苦手ではある。
まず一番、気に入らないのは太陽の存在。
太陽があるからあまり外に出たくない。
薄暗くて埃漂う部屋。
生活環境によろしくない場所だが彼には心地よかった。
ここだと何もしなくていいから。
たまに客は来るが、それは気にするほどのことではない。
足に亀裂が入っている椅子に腰かけた眼鏡をかけた彼は分厚い本を読んでいた。
――【バケモノの飼育方法】。
そんな陳腐な題名が表紙に書かれている。
「……今さら……」
彼はその本を床に置いて目を閉じる。
「バケモノ……僕はよく知っている。だから僕は【あそこ】に居て、生活できる環境……用意された」
自分と似た状態の物語か、それとも。
彼はため息をして別の本に手を伸ばし、目を開けた。
「そろそろ……彼女が来る時間……」
彼が呟いた瞬間、部屋のドアが派手に蹴り破られた。
そして姿を現したのは――
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