終章

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『……? なぜいつものように雪隆と呼んでくれないんです?』 「馬鹿。呼べるか。いまはまずいぞ通信が正面から傍受(ぼうじゅ)されている」 『はい?』 「……真横に盗聴器が迫ってきた。悪いが切るぞ。用があるならメールを寄越せ」 『えっ、ちょっと……』 通信を切るのと同時に、宮原は自分の横に移動して聞き耳を立てていた沙紀を振り払った。 「鬱陶しいっ」 「そないなこと言わんといて。結婚式には呼んでくださいねぇ」 「誰が呼ぶか」 師匠みたいなことを言うな、と心の中でつなげて、宮原はコーヒーをがぶ飲みした。
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