終章

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イグレーヌとはあれ以来、週に一度連絡を取り合っている。 そのたびに高城のことを聞いては進展のなさに落胆し、でも恋愛感が初々しくて安心したなどと勝手気ままなことを言い、最終的には結婚式には呼べ、それから新婚旅行は絶対フランスに来て顔を見せろという脅し文句で結ばれるのだ。 ……自分がフランスに行くのはかまわないが、高城を連れて行ったらイグレーヌをはじめとする姉弟子たちが、彼をどう扱うかわからない。 最悪でも大魔術の生贄などというむごたらしい扱いはされないだろうが、やれガンド撃ちの的だの錬金術でつくった薬の人体実験だのには採用されかねない。 何しろ、宮原は師や姉たちにかなり溺愛されていたのだから。 ――それを横からかっさらった奴の扱いなど、想像もしたくないな。 思わず、苦笑してしまう。 自分は、こんなにも愛されていた。そう感じずにはいられなかった。
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