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「いや…だ……」
ギシリと、床が軋(きし)む。
その正体を見上げて、少年はガクガクと身を震わせた。
玄(くろ)い陰が立っている。
その形はひどく人間に似ていた。
だが、その眼(まなこ)は血のように赤く、地獄の業火を思わせる。
それは、とても禍々しい人外(じんがい)の化け物だ。
その禍々しい赤い目が、震えている少年をギロリと睨みつけた。
「ひっ」
心臓が止まりそうになるほどの恐怖が、少年の全身を貫く。
その場に縫い止められたようになってしまった少年は逃げだすこともできずに、ただただ赤い瞳を見上げた。
それを見て、黒い化け物はにいと嗤う。
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