Phase1

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「どいて!ちょっとどいて!!」 涼子は、野次馬で出来た人混みの 中を叫びながらかきわけていた。 朝早くに、珍しい亨からの モーニングコールで目を覚ました。 「何、どうしたの?」 挨拶は飛ばしいきなり 本題に入りながら、 涼子は寝ぼけ眼でキッチンへ向かい、 冷蔵庫からミネラルウォーターを取った。 夕べは、 夜遅くに仕事から帰って来た後、 そのままベッドへ倒れ込み、 そのまま寝てしまったようで、 スーツ姿のままだった。 「落ち着いて聞いて下さいよ。」 「だから何?どこのヤミ金に 追われてんの?」 涼子はそう言うと、ミネラルウォーターを 一口飲んだ。 「僕の事じゃないですよ。」 そう叫ぶ電話からの声に涼子は 話半分で聞きながら、持っている ペットボトルをテーブルの上に置いた。 「あの・・・今、菜穂ちゃん います?」 そう言われると、家の中がやけに 静かだった。いつもは菜穂の 声で起きていたが、今日は 無かった。 珍しい寝坊かと思って、菜穂の 部屋も見てみたが、そこにも 姿は無かった。
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