『 例え話は慎重に。 』

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まさか、あの時の話が原因でこんな事になってしまうとは。 「覚えているかい?あんたは昔、僕にこう言ったんだ。地球という精密機械は人間というウイルスに蝕まれている、と」 奴は笑ってスイッチを押した。 今この瞬間、きっと何処かの国が消えたんだろうな。 「でもね、僕は思うんだ。地球を精密機械だと言うなら、ウイルスなんか関係なく既に手遅れなんじゃないかなってさ」 また、幾つかのスイッチが押された。 また、幾つかの国が。 「ずっと動かしているから熱暴走しちゃってるんだよ、きっと。……一度しっかり電源を落として冷まさないと」 スイッチを押し続ける音だけが部屋に響く。 不気味に笑うその表情に、背筋が凍った。
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