序章

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2009年03月 「沖田まだ出ないのか?窓閉めと電気、頼むぞ」 「はいよ」 放課後の教室。 皆は部活に行くなり帰るなりしてしまい、教室に残っているのは彼1人だ。 窓際に椅子を置き、窓のレール手前の僅かな段差で頬杖をしてボケーっと外を眺めている。 彼は沖田誠二、来月から高3で進路についてでも悩んでいるのだろうか。 すると突然、教室のドアが開き思わず沖田は振り返った。 そこには女子が1人立っていた。 「沖田君まだ居たの~?部活は?」 「……何だ小野寺か。今日はオフですけど、何か?」 「あ、そうなの?それは失礼。何してんの?進路についてでも悩んでるのかな?」 彼女は小野寺美紀。 沖田の隣のクラスだ。 2人の関係? 別に特別なものではない。 1年の時にクラスが同じで、席が近かったから仲良くなったというだけのものだ。 「いや、別に……。つーかお前こそ部活じゃねぇのかよ」 「今から行く~。じゃあ沖田君は卒業したら何するの?」 「……俺は自衛隊に、海自の航空学生受けようと思う」 「へぇ~!イイじゃん、似合ってるよ!って事は戦闘機に乗るの?」 「バーカ。海自は空母も持ってねぇのに戦闘機なんかある訳ねぇだろ。哨戒機かヘリとかだよ。お前は?」 「私はまだ決まってないよ」 彼女は笑いながら言う。 「いいのかよそんなお気楽で。さてと、じゃあ俺帰るから、向こうの窓閉めてくんね?」 「りょーかい!!」 彼女は敬礼してみせる。 自転車で駅に着きホームまで行く途中で、彼は駅の掲示板に「自衛官募集」のポスターを見付けた。 「……平和を仕事にする……か……」
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