8.破壊の果てに

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結合していた武器を"分離"させ、頑強な剛爪と逆手に構えた片刃剣──【-ツイン・エッジ-】に切り替える。 そして、 「Origin・31【ウィンド】」 左の牙には風を。 「Origin・50【ライトニング】」 右の爪には雷を。 それぞれ纏わせることで、術式に"斬る"運動が加わり、新たな力へ変わる。 準備を終えたところで、攻撃を強制終了したシグマは振り返ったが、もう遅い。 「【スペルアレンジ】……!」 回数にして三回、踊るように斬りつける。 刀剣の形に押し固められていた突風が、斬撃のたびにシグマの体表を這うように流れ出て、腹も背も深々と裂いた。 構成魔力を使い切った剣が、細かな緑の粒子となって散る、その向こう。 全身から鮮血を溢れさせるシグマへ、オレは、 「【疾風迅雷】!」 蒼雷の塊と化した右の爪で、連続突きを放った。 胸、腹、肩、顔。右手が届く範囲全てに、弾ける雷と共に爪撃が襲いかかる。 鱗も肉も吹き飛ばす、怒涛の連撃の最後に、 「だァッ!」 右足を踏み出して吠え、下から上へ、思い切り爪を立てた右手を振り上げた。 組織を削り散らすような斬撃と、全身を貫くように放たれる雷撃。 『ッ……!』 二つを浴びたシグマは、声も上げられずに宙を舞い、落下し、動かなくなった。
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