8.破壊の果てに

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『Heaven・16……!』 オレが何か企んでいると確信したのか、シグマは上級呪文を呟き、巨大な口を薄く開いた。 牙の合間から漏れ出る魔力は、先程のそれよりも濃密だ。シグマもまた、この激突が最後になると考えているのだろう。 心は痛むが、それでも足は止まらない。止めるわけにはいかない。 『【幽冥の吼】(エレボス=シャウト)!』 咆哮の直後、射出の直前、 「Assist・1【駿足】!」 負けじと吠えたオレも、強化した脚力を利用し、大空へ跳び上がった。 黒い魔力を伴う轟音が、竜巻のように渦巻き唸り、地表を削りながら眼下を飲み込んでいく。 あの先は南校舎だ。いくら最上級の呪文といえど、建物一つをブチ抜いた上で、敷地外に被害を及ぼすのは不可能だろう。 不安要素がないことを確認し、五感の全てを倒すべき敵へ向ける。 受けていた時は気づけなかったが、【幽冥の吼】は黒色だ。シグマの姿は隠れてしまっている。 しかし、見えなくても"そこ"に居ることは感じられた。威圧が強大にすぎる。 「……」 一度目を閉じ、すぐに開眼。 標的の背後に、音もわずかに着地した。 『!』 シグマはすぐに気づいたが、彼が魔術を中断する間に、オレは最後の攻撃に入る。
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