汗も滴る良い男達

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多紀が去った後、海斗がふぅとため息をついた。 「ったく、俺ってすげー目の敵にされてんな」 「だねー。なんでだろ?」 なんか気に食わない所でもあったのだろうか? すると海斗は、口をあんぐり開けてあたしを見つめた。 「な、なに……?」 「美月、本当に分かんねーの……?」 「何が?」 「さっきのガキの気持ち……」 「ガキって……多紀くんのこと? 気持ちって、どういうこと??」 今度は大きくため息をする。 海斗は呆れたように首を振った。 「え?ちょっと……何なのよ」 「自分で考えろ。この鈍感!」 「はぁ!?」 何でいきなり、けなされてんのあたし!? それすらも分かんないんだけど! 鈍感? あたしのどこが鈍感? 「お前って、罪な女だなー……」 「んっ?何か言った?」 「何もありませーん」 それだけ言うと、海斗は芝生の上に寝転がった。 「もしかして、寝るの?」 「当たり前。ただすっげぇ暑いのが欠点だな… 美月、日傘貸してよ」 海斗はあたしの側にある日傘を指差した。 いつもは持ち歩かないんだけど、さすがに今日は一日中外だし…… たまたま持って来てた。 「はい」 日傘を渡すと、海斗はそれを広げて頭の側に置いた。 ちょうど頭から胸の辺りまで陰になった。 「これで良いな♪じゃ、おやすみ」 「……そこまでするんだったら、家に帰って寝てれば良いのに」 「美月といたいから」 「…………!!」 あたしは衝撃を受けて、言葉が出ない。 だって、だって……!! 海斗くん恥ずかしい台詞ばっか吐くんだもん!
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