汗も滴る良い男達

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「……………で、結局のところは?」 多紀があたしを見据えながら言った。 「え??」 「だから、そこの奴は彼氏なのか?」 「ちっ……違う違う!!彼氏じゃないよ!?」 全否定するあたしに、海斗が面白くなさそうな顔をする。 あたしは腹が立ってベッと舌を出した。 「ふーん……違うのか」 無表情で多紀が言った。 「そりゃそうだよ」と晃が何度も頷く。 おい!!!だから、失礼だっつーの!! あたしの顔を見て、晃は青ざめて逃げて行った。 あれ? なんで逃げたのかな?? ………まぁあたしの表情は般若状態ですから。 他の2人も晃について去って行った。 残された多紀は海斗を見下ろす。 その目は何故か睨んでいるようにも見えた。 「……………」 沈黙の状態が続く…… 2人の間には火花が散っていた。 「おーいっ、多紀!! そろそろ試合だぞー!」 晃の叫び声が聞こえてきた。 多紀は晃の方を振り向き、ひとつ頷くと今度はあたしに向き直った。 「美月」 「あっ、はい!?」 いきなり名前で呼ばれ、ビクリとする。 多紀はこちらへ近づき、鼻と鼻がくっつきそうな所までやって来た。 「試合……見てろよ」 「う、うん……」 すると多紀は嬉しそうに笑った。 わっ……… あんまり見られない多紀くんの笑顔! 多紀は海斗を一瞥してチームメイトのもとへ向かった。
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