§第1章§―――君と僕。

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なんて平気な顔で言われた。 …牛乳でも飲んでいたら盛大に吹いていたところだった。 「さ、さらっと言うなよなそんな事!!」 「だって人と話したの、あなたが初めてなんですもの」 仕舞いには、お話って楽しいのね、なんて言い出した。 「ああ、話したの初めてなんだっけ」 そりゃあ気軽に研究員と喋れないよなぁ、と今更ながら考える。 「だってあの人たち、私をじろじろ見るんだもの。いやらしい目でじーっと」 まあ、裸だしな。うん。 「下心ある人は嫌だな」 まあ皆そうだろ。うん。 「その点隼人はいいな。そんな目で見てないみたいだし」 直視は無理だがな。裸だし。 「ふぁ…話してると眠くなっちゃった」 「やっぱり睡眠は必要?」 「まあね。意識があるとやっぱり疲れてしまうわ」 そう言って首をこきこき鳴らすルナ。 …骨折れないのかな。脆そうだし。 じゃあ今日はこの辺にしておくか?と聞くと、その方が助かる、と彼女は答えた。 * * * おやすみの後の静粛。 ふと考えたのは、死んだ母さんの事。 ルナが様々な生物から作られた人間だとしたら、彼女は少なからず母さんの遺伝子を受け継いでいるのかもしれない。 …なら兄弟になるのかな。 少し母さんの面影があるような気がする。 小さい頃に死んだから、あまり憶えていないのだけど。
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