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………………。
オレとシンは、しばらくそこで向かい合ったまま、何も話さないでいた。お互いに次の出方を模索していたのか、あるいは……………。
「………なーんてねっ☆」
……………え?
次の瞬間、
さっきまであんな冷たい顔をしていたのが夢かマボロシか何かだったみたいに、シンはオレに、にこぉっと、いつもみたいな笑顔を向けた。
「やだなーもー、真剣にビビんないでよ~俊哉くん!」
「え………シン…?」
……俳優か役者か?コイツは。
さっきまでのシンとは、何ていうのか、言うなれば別人だ。全くの別人格だ。
「ほら、オレら位の年になるとさ、秘密の1つや2つあんのが当たり前だし、それに、その方が何かカッコいくない??影のある男って感じでさ☆」
「………あ、うん…まぁ、そうだよな………」
あまりに、次から次へと変わる表情に付いていけずに、曖昧にオレが答えると、
「それにね」
…同じ“笑顔”でも、
また、今さっきまでのとは違って、今度はちょっと小悪魔っぽい笑みを浮かべて、シンがオレのすぐ目の前まで歩み寄ってきた。
「…そーやってすぐ何でも知りたがるのってね、“野暮”ってゆーんだよ?」
「…………っ!?」
シンが、
オレの唇に自分の人差し指を押し当てて、
思い切り意味有りげに、そして、不敵に微笑んだ。
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