四章 願い

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「………おい、シン!ちょっと待てって!」 ずんずん大股で歩いて行くシンを、病院を出てすぐのロータリーの噴水の前で、オレはようやく捕まえた。  「……何?俊哉くん」 そう言って、 シンがゆっくり振り返る。 ……あ、まただ。 またさっきの、 あの冷ややかな表情。  ……コイツって、 こんな顔するヤツだったか……? 「……オレが何か気に障る事言ったんなら謝るよ、けど、アイツが……公平がすっげぇ心配してたから……」 「………」 「……それに、イキナリ別行動にしようって言われて、仁も、なんつーか、アイツあんな感じで何にも言わねーけど、本当はワケ分かんなくて不安だと思うんだ……」 ……こんな事も、 今このタイミングで、しかも勝手に代弁されて、果たして仁が喜ぶ事なのかどうか分からなかったけど、言わずにはいられなかった。 …あれじゃ仁があまりに不憫だ。  「……ワケ分かんないのはどっち?」 「………は?」 「………俊哉くんだってさ、オレらに言えない事、あるんじゃない?………ナイショ事はお互い様でしょ」 …………………。 シンのその言葉に、 オレの背中に、 生ぬるい汗がつたった。 
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